navagraha

自作曲の歌詞や脳内設定を置いてます。

プロフィール

solcluster

Author:solcluster
ニコニコ動画で曲作ってます。

FC2カウンター

つぶやき

検索フォーム

QRコード

QR

■■■スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

■■■瓶詰の精霊

おこんばんは。
広告出ちゃった>< 何か書かなきゃ><

という訳で、交喙の曲後の一人称SSっぽいものをひとつ引っ張り出します。
こういうのをちゃんと書いたことないんで、読みやすいかどうか分かりませんが……
宜しければ。

あー小説書くPさんマジすげえよ

* * *
 ――あたたかい。

 温かい何かに包まれる感覚。浮上しかけた意識は二度寝の誘惑に負けた。
 軽く伸びをして体勢変更。横向きになって、軽く膝を曲げる。
 伸びて眠れば良いのにと言われたけれど、熟睡するのにはこの体勢でないと。
 ため息一つ、さあ、もう一度寝なおして――

 ここ、どこだろう。

 不意に浮かんだ一つの疑問。一気に意識が浮上する。
 眠った覚えはない。こんな場所も知らない。
 瞼を開ければ、

 一面の赤。
 
 困惑する意識とは逆に、身体は何故か脱力する。
 脱力して赤に身を任せ、横たわったままで――
 そこで初めて、自分の状況に気付いた。
 頭の先から足の先まで、赤い液体に浸かっている。
 温かくて、心地良い。
 理屈は分からないけれども、呼吸が出来る。溺れる心配はなさそうだ。
 
 胎児、という言葉が頭に浮かんだ。
 多分、母親の胎内に居た時はこんな感じだったんだろうな。
 ……母親の顔なんか知らないけれど。

 疑問が残る。
 ここはどこか。この赤い液体は何か。何故ここに居るのか。
 皆は、無事なのか。

 思わず、口にしていた。
 父母であり、兄姉であり、師であり、好敵手である、大切な人達の名を。
 大切な傭兵団の――家族の名を。
 液体の中で声は泡になって消える。

 呼べない。
 誰の名も呼べない。
 泡だけが無駄に出続ける。
 とっさに手を伸ばす。
 伸ばしても伸ばしても、赤い液体が続いている。
 かき分けてもかき分けても、赤は消えない。

 それでも呼びたい。
 呼ばなくちゃ。
 あいつらの、あいつら二人の名前だけは。

 何故呼ばなきゃいけない?
 分からない、分からないけど――

 もう二度と会えなくなる気がするんだ。

コウハ
セツナ

 ……ああ。
 呼んだはずの声は、泡になって消えて行く。
 どうしようもなく悲しくなって、膝を抱えて目を閉じる。

 眠ってしまおう。
 眠れば、何も考えなくて済む。
 起きれば、きっと――いつも通りの、明日が来るんだ。

 今日はどこの護衛だとか、どこの魔物の討伐をするだとか。
 あそこの商人はケチだとか、あの酒場のお嬢さんが美人だとか。
 そんなことを、飯を食べながら話して――

 だから。
 頼むから。

「クウ」

 俺の名を呼ぶ、懐かしい声がする。
 そんな辛そうな声で呼ばないでくれ。
 思い出させないでくれよ。

 何故、二人は選ばれた?
 何故、二人は殺し合わなきゃいけない?
 何故、傭兵団は真っ二つに別れなきゃいけないんだ?

 見たくない。
 聞きたくない。
 知りたくない。
 大切な人達が、誰ひとり居なくなるような結末なんて。

 ――だから、全てのことから逃げたのに。

「ごめん」

 地獄に落ちることすら許されない。
 これ以上どこにも逃げられない絶望と、ほんの少しの安堵を抱いて。
 せめてもの抵抗に、深く深く意識を閉ざす。

「ごめんな……」

 優しく謝るその声が、この身を捕らえて離さない。

コメント:

■ コメントの投稿


:
:
:
:
:

:

 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。